• 護岸ブロックの形状と抗力・揚力特性について


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    • Abstract: 張ブロック連結型. 張ブロック平板型. 根固ブロック大突起型. 根固ブロック平板型. 根固ブロック突起型. 張ブロックボックス型. 積ブロック穴あき型 ... 揚力係数. 積ブロック突起型. 張ブロック平板型. 張ブロック平板型. 張ブロック平板型. 根固ブロック突起型. 張ブロック平板型. 張ブロック平板型 ...

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第 2 回流体力の評価とその応用に関するシンポジウム,2003 年 1 月
護岸ブロックの形状と抗力・揚力特性について
田村正秀1・木下正暢1・浜口憲一郎2・阿部康紀2
1
財団法人 土木研究センター 〒110-0042 東京都台東区台東 1-6-4 タカラビル
2
パシフィックコンサルタンツ(株)筑波実験場 〒300-0042 茨城県つくば市作谷 642-1
1.はじめに を行っている.
① 単体設置時の抗力係数・揚力係数
従来、護岸の設計は現場の実践・経験を通して工 ② 群体設置時の抗力係数・揚力係数
夫されたものであり、河川技術者が工種・規模を当該河 ③ 群体上流端のブロックに作用する抗力・揚力によ
川の既往実績などをもとに経験的に決定しており流体 る回転半径
力学的な設計法とはなっていなかった.しかし、護岸に ④ 相当粗度
ついて平成 11 年 2 月に財団法人国土開発技術研究セ 実験では、計測用のブロックを単体、群体の中央、群
ンターより「護岸の力学設計法」が発刊され、護岸の力 体上流端に設置し、各状態でのブロックに作用する抗
学的設計に関する照査が可能となってきた. 力・揚力・回転モーメントについて 4 分力計を用いて計
しかし、護岸ブロックの流水に対する安定性の照査に 測を行った.
は、護岸ブロックの水理学的特性を示す抗力係数,揚
力係数や相当粗度が必要であるが、既存の多様な形 (2)水路施設
状のブロックについて水理特性値が系統的に調査され 試験検討に用いた水路は図-1 に示す幅 1m、長さ
たことがなかったため、「護岸の力学設計法」に準じて照 26m の直線水路であり、計測用ブロックは水路上流から
査することが困難であった. 16.5m 地点の水路中央部に設置した.
そこで、財団法人土木研究センターに大学・建設省
の関係者をメンバーとする「護岸ブロック試験法検討委 (3)通水条件
員会」を設置し、実際に水理実験を実施して試験法の レイノルズ数の変化による抗力および揚力への影響
策定を行い、平成 11 年 7 月に「護岸ブロックの水理特 等を把握するため、水位を一定(30cm 程度)に保った状
性値試験法マニュアル」を作成した.その過程について 態で流量を変化させ通水を行った.流量は最大 400l/s
は、「護岸ブロックに作用する流体力とその計測法」 1) , 程度とし、5段階に流量を変化させレイノルズ数によって
2)
としてとりまとめた. 抗力係数および揚力係数が変化していないことを確認
その後、財団法人土木研究センターにおいて平成 14 した.
年 10 月までに多種多様な形状の 85 種のブロックにつ 水深(H)は側壁の影響を考慮して水路幅(B)に対し
いて試験を実施し、水理特性値を計測し証明してきた. B/H>3 以上となるように設定した3).一部の突起高の高
本報告は、計測を行った 85 ブロックの水理特性値につ いブロックにおいてB/H>3 以上を満足できないブロック
いて整理し、ブロック形状による抗力・揚力特性などに もあったが側壁による影響が水路中央部には及んでい
ついて分析を行った結果について考察を行ったもので ないことを流速分布の計測から判断した.
ある.
(4)計測機器
2.水理模型実験の概要 ブロックに作用する抗力・揚力が小さいことを考慮し
て表-1 に示す4分力計を用いて計測を行った.(より定
(1)測定項目 格容量の小さな分力計を用いて計測精度を向上させる
護岸ブロックの水理特性値実験では、「護岸の力学 ことも可能ではあるが、ブロック模型の設置・取り外し時
設計法」に用いられる以下の4つの項目について計測 の分力計損傷の危険性を考慮するとこれ以下の定格
1
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図−1 試験水路施設(単位 mm)
容量での試験は実際的には困難と判断した.) (5)抗力、揚力係数、相当粗度の算定
計測用ブロックの上流には、境界層の発達を考慮し 本試験においては抗力係数、揚力係数、相当粗度
て単体試験では粒径 2mm 程度の砂を敷設した区間を は下記により求めた.
試験水深の 30 倍程度設置し、境界層が十分発達する
①抗力係数・揚力係数
区間長を設けた.群体試験では水深の 15 倍の区間に
試験体と同じ形状のブロックを設置し、試験体での境界 1 1
D= ρC D A dV d
2
L= ρC L A b V d
2 ・・(1)
層、流速変動がブロックの特性を反映できるように配慮 2 2
した.また、群体試験ではブロックは横断方向の均等性
CD (CL):抗力係数(揚力係数) Ad(Ab):抗力(揚力)作
を保つために横断方向には最低 5 個は設置するように
用面積(m2) Vd:ブロック近傍流速(m/s)
した.
D(L):計測された抗力(揚力) (N)、(kgf) ρ:流体の
3 2 4
密度(kgf/m ・S /m )
表-1 4分力計機器性能表 注) 抗力作用面積:流れに対する全投影面積 揚力作
用面積:設置面に垂直な全投影面積
歪みゲージ式4分力計
ブロック近傍流速 Vd 単体ブロック時:ブロック天端位置で
Fx=2.04kg (20N)
の流速、群体ブロック時:相当粗度高さでの流速
Fy=2.04kg(20N)
定格負荷
Fz=2.04kg(20N) ② 相当粗度
My=1.02kg-m(10N-m)
定格出力 約 1000×10-6 ひずみ 相当粗度は(2)式の断面鉛直平均流速を用いて算
非直線性 ±0.2%FS 出することとし、摩擦速度u*については群体試験に
ヒシテリシス ±0.2%FS
おける抗力を用いて算出した.
干渉度 ±3%FS/FS
ゼロ点の温度影響 ±0.01%FS/゚ C
感度の温度影響 ±0.05%Reading/゚ C V0 ⎛H ⎞ ・・・(2)
=6.0 + 5.75 × log10 ⎜ d ⎟
⎜K ⎟
型式 歪みゲージ式4分力計 u* ⎝ S⎠
D ・・・(3)
u =

ρ・A b
Ks:相当粗度(m)、V0 : 平均流速(m/s)、
u*:摩擦速度(m/s) Hd:水深(m)
D:抗力(N)、(kgf)
図-2 分力計設置方法
2
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3.ブロック形状による抗力・揚力の変化
数および揚力係数の計測を行った4).単体試験、群
体試験時のレイノルズ数と抗力・揚力係数の関係を
(1)ブロック形状と分類 図-3 および図-4 に示す.
試験を行った 85 ブロックについて、ブロック 試験においては対象とするレイノルズ数を 5.0×
の使用目的と形状から便宜上下記のような分 104となるように設定したが、 レイノルズ数を算定す
類とした. る代表長を下記のように設定しているため、群体時
・ブロックの使用目的:①護岸張りブロック においてはレイノルズ数が 1.0×104を下回るケース
②護岸積みブロック③根固めブロック もあった.
・ブロック形状:①突起型(①-1 突起型、①-2
大突起型)②平板型③ボックス型④連結型
表-2 にブロックの代表的な形状について示す. 代表長 単体設置時 : ブロック高
形状による分類においては突起規模を下記のよ 群体設置時 : ブロック突起高(ブロッ
うに整理し、分類を行った. ク高−ブロック平均高)
(2)レイノルズ数と抗力係数および揚力係数
単体試験においてはブロック高を代表長としており、
各ブロックについては抗力係数および揚力係数が
レイノルズ数が 1.0×104を超えると、抗力係数およ
レイノルズ数による影響を受けずに計測されている
かを把握するためにレイノルズ数を変化させ抗力係 び揚力係数はほぼ一定の値を示すようになる.
表-2 ブロック形状分類表
ブロック形状 平板型 突起型 大突起型
ブロック平均高/ブロック高 0.8 以上 0.5∼0.8 0.5 以下
注)ブロック平均高=ブロック体積/ブロックを上方から見た投影面積 ブロック高=ブロックの全高
表-3 ブロック形状分類
名称 護岸張りブロック 根固ブロック
突起型 ①
表-2 に示す分類のブロック
(根固ブロックでは大突起
型もあり)
(大突起型)
平板型 ②
表-2 に示す分類のブロック
ボックス型 ③
ボックス内に死水域のような
空間を有するブロック
連結型 ④
ブロックが複数の部品により
構成されており、ブロック内

に裸地を有するブロック
注)矢印はブロックに対する流れの方向を示す.
3
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しかし、一部のブロックにおいてはレイノルズ数が ルズ数別の抗力係数および揚力係数を図-5 に示す
1.0×104を超えても抗力・揚力係数が変動するブロ がレイノルズ数が 5.0×103を下回るブロックでは抗
ックもあり係数の把握には留意することが必要であ 力係数および揚力係数が一定しない状況となる.こ
る.また、群体試験ではブロック突起高を代表長と れは、レイノルズ数が 5.0×103を下回るような流れ
しているため、平板型ブロックではレイノルズ数が では抗力および揚力が小さく分力計の計測精度によ
小さく 1.0×104を確保することが施設規模から困難 る影響を受けるためと判断される.
となることが多い.代表的な平板ブロックのレイノ
1.5 1.5
張ブロック突起型 積ブロック突起型 張ブロック連結型 張ブロック突起型 積ブロック突起型 張ブロック連結型
張ブロック平板型 根固ブロック大突起型 根固ブロック平板型 張ブロック平板型 根固ブロック大突起型 根固ブロック平板型
根固ブロック突起型 張ブロックボックス型 根固ブロック穴あき型 根固ブロック突起型 張ブロックボックス型 積ブロック穴あき型
1.0 1.0
抗力係数
揚力係数
0.5 0.5
0.0 0.0
0.0E+00 2.0E+04 4.0E+04 6.0E+04 8.0E+04 1.0E+05 0.0E+00 2.0E+04 4.0E+04 6.0E+04 8.0E+04 1.0E+05
レイノルズ数 レイノルズ数
図-3 単体設置時レイノルズ数と抗力係数および揚力係数
0.4 0.4
張ブロック突起型 積ブロック突起型 張ブロック突起型 積ブロック突起型
張ブロック連結型 張ブロック平板型
張ブロック連結型 張ブロック平板型
根固ブロック大突起型 根固ブロック平板型
根固ブロック大突起型 根固ブロック平板型
0.3 根固ブロック突起型 張ブロックボックス型 0.3 根固ブロック突起型 張ブロックボックス型
根固ブロック穴あき型
根固ブロック穴あき型
抗力係数
揚力係数
0.2 0.2
0.1 0.1
0.0 0.0
0.0E+00 2.0E+04 4.0E+04 6.0E+04 8.0E+04 1.0E+05 0.0E+00 2.0E+04 4.0E+04 6.0E+04 8.0E+04 1.0E+05
レイノルズ数 レイノルズ数
図-4 群体設置時レイノルズ数と抗力係数および揚力係数
0.2 0.2
張ブロック突起型 張ブロック平板型 積ブロック突起型 張ブロック平板型
張ブロック平板型 根固ブロック平板型 張ブロック平板型 張ブロック平板型
張ブロック突起型 ブロック平板型 根固ブロック突起型 張ブロック平板型
張ブロック平板型 張ブロック平板型
抗力係数
揚力係数
0.1 0.1
0.0 0.0
0.0E+00 5.0E+03 1.0E+04 1.5E+04 2.0E+04 0.0E+00 5.0E+03 1.0E+04 1.5E+04 2.0E+04
レイノルズ数 レイノルズ数
図-5 図-5 群体設置時レイノルズ数別抗力揚力係数(平板型)
群体設置時レイノルズ数と抗力係数および揚力係数(平板型)
4
第 2 回流体力の評価とその応用に関するシンポジウム,2003 年 1 月
ブロックに作用する抗力および揚力の分散を調べ
(3)ブロック形状と抗力および揚力の作用状況
ると、例えばブロックに作用する抗力および揚力は
流体力は起振力として護岸ブロックに作用してい 図-6 に示すように正規分布に従っていることがわ
る.振動現象を把握するために抗力および揚力をサ かる.
ンプリング間隔 30Hz で計測を行い、ブロックの振動 抗力・揚力の平均値と同時刻での抗力・揚力の変
状況を計測した. 動成分 (ΔD/D、ΔL/L)の分布について整理
を行った. 図-7 に各分類ブロック別に単体時と群体
抗力 揚力 時の変動成分の分布特性を示す.図に示すように単
0.05 0.05
体設置状態では抗力の増加に対し揚力も同様に増加
0.04 0.04 を示すが、大突起型ブロックでは揚力の増加に対し
抗力はほとんど変化していない.単体試験と群体試
0.03 0.03
験結果を比較すると、抗力と揚力の相関が逆転して
確率 密度
確率密度
いるブロックが見られる.これはブロック自身の形
0.02 0.02
状により群体試験時に流速変動が影響を受けるため
0.01 0.01 であると考えられる.特に、ボックス型では抗力と
揚力が負の関係となっているが、これはボックス型
0.00 0.00
-5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5 -5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5
が有する死水域による剥離渦が影響しているものと
標準偏差 標準偏差 考えられる.
図-6 抗力・揚力の変動
4.抗力・揚力の変動と流速変動
突起型ブロック 大突起型ブロック
1.0
3.0
ブロックに作用する流体力と流速の変化を同時に

0.5
2.0 計測を行い、流速の変動と流体力の変動の相互関係
体 1.0
揚力⊿L/L
について調べた.計測に用いたブロックは突起型ブ
揚力⊿L/L
0.0
0.0

-0.5
-1.0
ロックであり、群体設置状態で計測を行い、計測結
置 -2.0
-1.0
-1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0
-3.0
果については流速の平均値からの変動成分と抗力お
時 -3.0 -2.0 -1.0 0.0 1.0 2.0 3.0
よび揚力の平均値からの変動成分について整理を行
抗力⊿D /D
抗力⊿D/D
1.0 3.0
群 2.0 った.試験は水深 29.3cm、フルード数 0.8 の条件で
0.5
1.0
行った.流速の計測は電磁流速計を用いて行ったた
揚力⊿L/L
揚力⊿L/L
体 0.0 0.0
設 -1.0 め、事前にブロック上面において 1cm、2cm、3cm に
-0.5
-2.0
置 -1.0 -3.0
流速計を設置した場での抗力および揚力の計測を行
-3.0 -2.0 -1.0 0.0 1.0 2.0 3.0
った.予備的な計測により流速計がブロック上面よ
-1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0
時 抗力⊿D/D 抗力⊿D/D
り 2cm の位置では、流速計のセンサープローブによ
ボックス型 連結型
1.0 2.0
る乱れがブロックに影響することが判明したため、
単 流速の計測はブロックの流体力に影響を及ぼさない
0.5 1.0
揚力⊿L (/L

揚力⊿L/L
0.0 0.0 ブロック上 3cm に電磁流速計を設置して行った.
設 -0.5 -1.0 図-11 には流速の平均値からの変動(ΔV/V)に
置 -1.0 -2.0
対する抗力・揚力の平均値からの変動(ΔD/D、
-1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 -2.0 -1.0 0.0 1.0 2.0
抗力⊿D/D
時 抗力⊿D/D
ΔL/L)の関係について示した.図-11 に示すよ
2.0 2.0
群 うに流速の変動に対し揚力の変動が影響しており、
1.0 1.0
体 流速の変動と抗力の変動には相関関係は見られない.
揚力⊿L/L
揚力⊿L/L
0.0 0.0
設 -1.0 -1.0
図-12 には流速と抗力および揚力の経時変化と周
置 -2.0 -2.0
波数特性を示しており、流速と抗力および揚力の変
-2.0 -1.0 0.0 1.0 2.0 -2.0 -1.0 0.0 1.0 2.0
時 抗力⊿D/D 抗力⊿D/D 動特性を見ると流速の変動係数は 0.1∼0.3 程度と
図-7 ブロック形状別抗力・揚力の変動状況 なっており、流速の変動周期は約 10 秒、4 秒、2.5
秒周期の流速変動が卓越している.流体力の変動係
数も 0.1∼0.3 程度であり、抗力方向の流速変動に応
5
第 2 回流体力の評価とその応用に関するシンポジウム,2003 年 1 月
じ揚力の変動が生じている. 流体力と流速の変動については、ブロック形状によ
流速の変動と抗力変動 り大きく異なり一般的に変動成分がどの程度影響す
2.0 るかを評価する事は困難ではあるが、計測値におけ
1.5
1.0
る変動係数はブロックの変動特性を示しており、平
均値とともに安定性の照査には配慮すべきである.
ΔD/D
0.5
0.0
-0.5 13
-1.0 5.揚力係数・抗力係数と移動限界流速
-1.5
-2.0
-0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.1 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 ブロックに作用する抗力および揚力の変動と群体時
ΔV/V の流速変動が相互に関係し、振動を生じさせていること
流速の変動と揚力変動 を示した.流体中に設置されるブロックの力学的検討は、
2.0 現在は、計測より求めた平均的な抗力係数および揚力
1.5
1.0 係数を用いてブロックの安定性についての照査を行っ
0.5 ている.しかし、ブロックに作用する流体力の変動現象
ΔL/L
0.0
-0.5 を考慮するとブロックが滑動する限界は、平均的な抗力
-1.0 および揚力が作用する時よりこのような振動の中で最大
-1.5
-2.0 力が発生したときに生じると考えられる.
-0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.1 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 そこで、この抗力および揚力の変動がブロックの移動
ΔV/V 限界流速に及ぼす影響について検討を行った.
図-8 流速変動と抗力・揚力の変動 護岸ブロックの移動限界流速については「護岸の力


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